ドラマのレビューは
ドラマランキングで81マスの将棋盤の底に潜り、必殺技を手に入れるという不思議な体験をした菅田健太郎(溝端淳平)は、再び“受け師”の中静そよ(仲里依紗)と対局する。相変わらず鋼鉄のような受けをするそよにたじろいだ菅田は、真剣師・飛鷹(富澤たけし)に勝ったときのように、将棋盤へ潜ろうとする。しかし、なぜかダイブができず、時間切れで負けてしまう。
所持金がわずかとなった菅田は、将棋センターで客に声をかけるが、強いと評判の菅田の相手は見つからない。「勝ち過ぎるとロクなことがない」と、真剣師・角田(伊達みきお)から言われたとき、荒稼ぎをしていると噂の真剣師・桂(デビット伊東)が入ってくる。強い相手に追い込まれればダイブできるだろうと感じた菅田は、桂と10万円の勝負に挑む。ところが、またしても潜ることができず時間切れで敗れてしまう。
10万円を立て替えてもらった角田とともにアパートに戻った菅田は、ミニスカートの隣人・六車里花(安田美沙子)に出くわす。隣人以上の関係ではないはずなのに、里花は菅田のフルネームを知っており、自分を傷物にしたと言い捨てる。訳がわからず慌てる菅田を一喝した角田は、自分が真剣師の正しい稼ぎ方を教えてやると、菅田をとある将棋サロンへ連れて行く。角田が伝授したのは、顔が知られていない場所で負けながらカモを探すという方法だった。それが真剣師の稼ぎ方だと納得はしても、わざと負けるということが菅田の心の痛手となる。
菅田の脳裏には、師匠・鈴木歩人(小日向文世)の言葉がよみがえる。自分の将棋に嘘をつくな、プロを目指すなら常に高みを目指して指し続けろというその言葉を踏みにじり、取り返しのつかないことをしてしまったと、絶望的な気持ちになる。
それでも歯を食いしばり、わざと負ける将棋を繰り返し角田に借金を返すと、菅田は質屋に預けていた駒を取りに行く。ところが、駒はたった今、買われてしまったと言われる。驚いた菅田が駒を買ったという客を見ると、そこにいたのはそよだった。質に流れる“戦った駒”を集めるのが好きだというそよは菅田に、駒を返して欲しければ、自分の代わりに真剣を指せと条件を出す。
その夜、指定されたビルへ着いた菅田を、角田と飛鷹が迎える。そよから話を聞いているというふたりとともに、菅田はビルの屋上の賭場へ向かう。そこでは、見るからに怪しいマムシ(姜暢雄)とガラの悪い男たちが菅田を待っていた。その異様な雰囲気に萎縮する菅田に、有無を言わさずマムシがにじり寄ってくる。
20分切れ負けの勝負だと言われても、菅田は自分が取り戻せない。やっとのことで、この勝負は何なのかと尋ねると、男のひとりが1千万円を賭けたデカい賭場だと説明する。それを聞いた菅田は震え出すが、後戻りはできそうにない。やがて観念した菅田は、緊張の表情で第一手を指す。
一方のマムシは鋭い将棋で、じわじわと菅田を追い詰める。それはまるで、ヘビが獲物を絞めるときのような執拗さだ。焦る菅田は、ダイブを試みるがやはり潜れない。持ち時間が少なくなるなか、菅田はなんとかいい筋を見つけ、力強く駒を打つ。ところが、マムシはこれを一笑。逆に「棒金(ぼうきん)戦法」と呼ばれる必殺技で、襲い掛かってくる。マムシに完全に飲み込まれてしまい硬直する菅田を、マムシはあざけ笑いながら、真剣は賭博という立派な犯罪で、それに手を染めている菅田は、すでに人生を踏み外していると宣告。
その言葉に、菅田は自分が堕ちるところまで堕ちてしまったと感じる。金のためにわざと負けることを覚えて、こんなところに来て将棋を指している――それは大好きな将棋を汚す行為以外の何物でもない。自分には将棋しかないのに、何と言うことをしてしまったのだろう…。強い悔恨の気持ちを感じると同時に、心の底からもう一度、将棋盤に潜りたいと思う。その瞬間、菅田は深く深く潜っていく――。
ダイブから覚醒した菅田は、解き放たれたような勢いで力強く駒を指す。受けるマムシも、負けぬ気迫で指し返す。そんななか、菅田が油断したかのような緩い手を指す。それを見逃さないマムシは、殺気を振りまきながら必殺の一手を返す。誰もが、“終わった”と思った次の瞬間、「…待ってた」と菅田がつぶやく。緩い指し手は、おとりだったのだ。それに気づいたマムシだが、時すでに遅し。腹の内側から食い破られたヘビのように、玉砕する。
「大勝負に勝った…」と菅田が思ったとき、賭場へ警官がなだれ込んでくる。そして、一瞬のうちに、菅田にも手錠がかけられる。
警察署に拘置されるが、証拠不十分で不起訴となった菅田は、釈放される。しかし、心に大きな傷を負い、雨のなか路上に泣き崩れる。そこへ、傘を差したそよが現れる。するとそよは、本物の真剣は本来、金を賭けるものではなく、命の次に大切な物を賭けて戦うものだと言う。そして、これから3人の本物の真剣師と戦ってもらうと言うと、自分について来いと歩きはじめる。
わけがわからないながらも、そよについていった菅田は、川原に建つ粗末な小屋へ案内される。なかには、将棋盤を前に座るホームレスと思われる初老の男(大杉漣)がいて…。
ダイブできる条件がよくわからないが、話はおもしろくなってきたようで・・・。
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